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2011年5月15日 (日)

ベラルーシで医療支援活動をされていた菅谷 昭 さんのお話

菅谷さんは、2004年から松本市の市長をされている方だそうです。

以下抜粋

ベラルーシで、子どもの甲状腺がんは、
チェルノブイリ原発事故から5年たって、急増した。
小児の甲状腺がん患者は、事故当時0~9歳が97.6%を占める。
10歳以上はわずか2.4%であった。

幼少時代に、汚染された空気を吸い、水や牛乳を飲み、
いちごやキノコ、ジャガイモを食べて過ごした。
幼小児期の甲状腺は、放射性ヨードを多量に摂取し、
その影響を高度に受けやすいことがわかっている。
経路汚染による内部被曝から、
子どもや妊娠、授乳中の女性を守ることによって、
将来の子どもたちの命を守ることができる。

菅谷 昭さんは、2004年から松本市長をされている。
定例の市長記者会見で(2011年3月22日)、
ベラルーシの医療支援の経験から、
経路汚染による「内部被曝」の怖さについて、話されている。
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/aramasi/sityo/kaiken/teirei20110322/index.html

【記者】
東京電力福島第1原子力発電所の事故に起因する放射能汚染で、
ほうれん草、クキナの出荷停止が現実的におきて、
市長が以前お話になっていた土壌汚染が現実的なもの、
となってきたのですが、実際に内部被曝を、市長おっしゃっていたのですけれども。
はたして食べても安全なのか、市長のチェルノブイリで医療支援活動された経験から、
ご見解をもう一度伺えればと思ったのですが。

【菅谷市長】
はい、それでは今の記者のご質問ですけれど、
私はずっと、常々というか、最初からこの件に関して、
私の言葉として表現されているのは、
とにかく、核の事故、放射線の事故というのは、
最初から最悪の事態を想定して、
先手、先手で手を打っていくことが大事じゃないかといことを、
私が5年半の経験(ベラルーシでの医療支援活動)をもとに、
日本に帰ってきてからそう思っておりました。

しかし、そういう中でまさかこういう状況になる、と思っておりませんでした。
一つは20キロの避難ですけれど、
できれば30キロまで広げたほうがいいのではないかと申し上げ、
あわせて、予防的に無機のヨード剤を投与しておいたほうがいい、
ということも申し上げました。

場合によって避難は、やはり50キロ位、
チェルノブイリの場合だと30キロゾーンは、人が住めないわけですけれど、
チェルノブイリと同じにしてはいけないのですけれど、
できれば50キロ位までの範囲は、注意したほうがいいのではないかなと。
それくらい、いわゆる大気汚染が広がるよ、ということを申し上げたとこでございます。

それから、特に乳幼児妊産婦に対しては、
ヨード剤の予防投与は、まさに内部被曝の問題なんですよ、
ということを申し上げきたんですね。

政府を含めて皆さん方は、外部被曝のことだけを取り上げているので、
そうではなくて、皆さん3つの点に注意してください。

一つはマスクをしてください
なぜマスクをするかというと、汚染された(空気に)浮遊している放射性の降下物が、
鼻から気道、気管をとおして肺に入って、吸収されて血液の中入って、
体に蓄積されるということですね。

二つ目は、は露出してはいけないということ。
これは皮膚から吸収されて体の中に入っちゃいけない。

もう一つはから入るという、この三つですね。
経気道的、経皮(皮膚)、それから経口的です。この三つが経路です。
できるだけ取り込まないように、と言っているのです。

取り込まれたらどうなるかいうと、放射性物質が放射性ヨードであり、セシウムであり、
ストロンチウムであり、プルトニウムであって、それらが入ると大変なことになりますよ。

これは今じゃなくって、5年、10年、30年。セシュウム、ストロンチウムの半減期が
30年ですから、放射性ヨードの半減期は8日ですけれども。

取り込まないように言っているにもかかわらず、
今回(福島原発事故)のほうれん草は、今度はシーベルトからベクレル、キュリーです。

皆さん良く知っているキュリー夫人のキュリーです。
放射能の強さを表すのですけれども、今回(福島原発事故)のほうれん草の場合、
日本の基準で2000ベクレル/キロですよね。
という事は、倍になっていて、それを食べてもいいかって言われたら、
語弊がありますが、できるだけ口にしないほうがいいだろう。

というのは、現地(ベラルーシ)に行った者として、
本当に言いたいのは、子どもたちや妊産婦、胎児の命を守る、
という意味で、5年とか10年(後に甲状腺がんが発症する)。
チェルノブイリ(ウクライナ)で甲状腺がんの子どもが、増えたのが5年後ですよね。
5年後から出てきているんですよね、急激に。

事故前の子どもの発症率は、(ベラルーシで)100万人に1人か2人で、
これはチェルノブイリ(ウクライナ)でも同じなんですよ。

それが、汚染地(ベラルーシ)で(5年後)になると、100倍になったり、ひどい時には130倍ですね、(ベラルーシの)ゴメリ市なんか。

だから将来のことを考えれば、これは本当に申し訳ないけれど、作っている方々に。
しかし、風評ではなくて事実として、やはり押さえておかなければいけないと私は思って、
パニックでなくて国民も冷静に聞いてくれて、
そして今の時期は、食も少しひかえてもらうということ、
そのためにも、早くに放射性ヨードを投与しないと、もう入ってしまったら終わりなのです。

私は、前から予防適応しておいた方がいいですよって。
今政府においては後手、後手ですよね。
避難している人たちも、放射性ヨードっていうけれど、もう避難しているわけですから、
避難中に被曝して入ってしまえば、いくら後でやっても遅いのです。

そういう事がちっともわかっていないことが、きわめて残念だ、ということを申し上げたいですね。ですから(福島)原発の今の状況は、是非とも国をあげ、
それから海外の力を借りて、とにかく消火する。

外に放射性物質を出さないことは、最大限やってほしいのだけれど、
私はもう一つ、最悪であった土壌汚染は、これまさに環境汚染。
水も汚染ですし、それから食物も汚染、これ出てしまったんですね。 

ですから、次は経路汚染、経口的に、からだに取り込まないようにすることは
当たり前のことです。けれど、それが抜けちゃって「安心、安心」、
放射線1回浴びることとしているが、そんな問題ではないですよね。

あれは外部被曝なんですよね。皆さんだって検査された時にエックス線を、
浴びるわけですよね。それは1回だけですよね。

そうじゃないんです。入ったものは沈着して抜けない、
いわゆる放射能沈着と表現しますけれども、放射線降下物、フォールアウトですから、
今舞っているのが下に降りますから、落ちると土壌が汚染されます。

当然、土壌と、それから水だって汚染されます。一方で葉物ですよね。
葉っぱの上にやはり降下するわけじゃないですか、放射性物質が。
で、それを牛や羊が食べるわけじゃないですか。
そうすると放射性物質が、今度はお乳の中にでるわけですよね。

そのお乳を人間が飲むわけですよ。これがいわゆる食物連鎖ですよね。
またその土壌の中に落ちると、それを食べた牛やヤギが、糞、おしっこを出します。
ここに放射性物質がたまりますから、それがまた地面、土壌を汚染するという悪循環、
食物連鎖になっているわけです。

また、汚染された土壌からは、セシウムが、今度は葉物じゃなくて根菜類、
根から吸収されますから、
特にセシウムは、消化管からほとんどが吸収されるわけですから。
それから放射線は、甲状腺に集まってしまうわけです。

そういうことを事実としてとらえて、報道していくのは、国からもいかないと。
単に「冷静に行動してください」とかでなくて、数的なもので。被曝が5年、10年、日本で、
もし将来ですね、わかりませんけれど悪性の新生物が、
日本で増えてきたような状況の時には、いったい誰が責任とるんでしょうかね。

そういう意味で、できるだけ放射性物質を、体に取り込まない注意を
お互いにしていったほうがいいのではないかな、ということであります。
今後、全国でも食品に対しては、多分、汚染の状況をチェックしてくださいという言葉が、
いろいろ出てくると思います。

心配ないものは本当に食べていいです。
私自身は汚染地(ベラルーシ)でジャガイモを食べたり、人参を食べたり、
玉ねぎを食べたりしたけれども。大人はまだいいですけれども、
これから生まれてくる子どもや、小さい子どもには、
そういうことの無いようにしてあげなければいけない。

そこで放射能の許容レベルは、先ほど記者が言われたように、
これは許容レベルというのはあるんですけれども。
例えば事故の時にポーランドでは、事故から4日目なんですけれども、
国の命令で、乳牛に新鮮な牧草を与えることを全国的に禁止しているんですよね。

それから、100ベクレル/リッターということは、100ベクレル/キログラム以上の
汚染ミルクを、子どもや妊娠、授乳中の子どもが飲むことを禁止しているとか、
4歳以下の子どもは原則として粉ミルクを飲ませる。
粉ミルクの不足分は、急きょオランダから緊急輸入をしている。

それから子どもや妊娠、授乳中の女性は、できるだけ新鮮な葉菜類、
葉物は摂取を控えるように、指示している。こういうふうに対策をとったんですね。

今回(福島原発事故)の場合に、これ(基準)が1000ベクレル(ポーランドの10倍)ですから、
ほうれん草なんか4000ベクレルですから、そういう意味では、やはり残念だけれども、
特に生産者は本当に気の毒ですけれども、子どもたちの命、将来のことを考えれば、
この場は、政府が最大限に保証してあげるということで、
しばらく汚染の状況が安全のところまで行くまでは。それは、ミルクもそうですね。

1986年が(チェルノブイリ)原発の年ですけれど、
1987年ヨーロッパの食品の放射能の限度というか、安全許容量を出しているのが、
有名なネイチャーという雑誌に出ているんですけれども、
これは、乳製品だと、バターとかミルクとかチーズとか、
アイスクリームは、セシウムは1000なんですね。
ヨウ素が500なんです。ストロンチウムが500、プルトニュウムが20ベクレル/キロです。

乳製品以外の食品は、セシウムが1250、ヨウ素が3000、
ストロンチウムが3000、プルトニウムが80。
それから飲料水は、セシウムが800、ヨウ素が400、
ストロンチウムが400、プルトニウムが10。
また家畜の飼料は、セシウムが2500と、このように、一応基準は設けてあります。

多分これに準じて、日本の場合もやってあるんだろう、
と思いますが、きちっとしたものは無いんですけれどね。
各国違います。しかし大体この一つの基準というのはあるわけで、
どれがいい、どれが悪いんじゃなくて。

ご承知の通りチェルノブイリだって、30キロゾーンでなくて、100キロ以上離れたところで、
ホットスポットって言いまして、ある場合には雨の状況で、日本は雪ですけれど、
それによっては放射性のフォールアウトがある所に、集中的にポンポンと点状に落ちる。だから、そこで生産されたものというのは、当然汚染されるわけです。

そういう意味で、今回私も意外だったのは、
茨城の方で高濃度ってなぜかって、これは当然大気汚染で、
あちこちに汚染された大気があるわけですから、
その中に雨が降って雨の粒の中に、私が前に言ったように、
「雨とか雪は注意した方がいいですよ」と言ったら、雪が降ってしまいましたけれど、
そういうのはやはり、放射性降下物も含まれて落ちるわけですから。

残念ですけれど、そういう所は可能性があるということを、
一応私は、皆さんをパニックではなくて、
「こういう事実がありますよ」と、いうことを知っておいてもらった上で、
冷静に対応してもらう、こういう表現をしていかないと。

ただ単に、エックス線を当てて1回でこうだとか、そういう外部被曝のことを言われるので、
菅総理大臣が自ら国民に向かって「こうなんだ」って、
とにかく子どもたちや妊産婦を含め胎児たちの命を守るんだと、
将来のことを考えて、ということを言わないと、私はいけないと思っております。

これは誤解なきように。
皆さん方が、ある言葉だけを出されますから、誤解されて、
私はいつも言われてしまうんですけれど、もし、心配だったら全部出してください。
そうでなかったら出さないでください。

私は皆さんに今、私自身がチェルノブイリで経験したことを、お話ししているわけですから。
決して政府を批判ではないんですけれど、事実としてとらえてほしい。

しかも、国民の皆さんは落ち着いてくださいと。
こういう事があるけれども、安心なものは食べていいですから、
ということで私は申し上げております。

私自身も、5年も汚染地(ベラルーシ)で、向こうの人と同じものを食べてきたわけです。
だから、実際に言えるのは甲状腺のがんに関して、放射性ヨウ素がこんなに高いのに、
昨日の長野県の報道を見ていますと、その4000ベクレルじゃないですけれども、
「ほうれん草を洗わないで500グラム食べても安全だ」という、
そういう県から、もしメッセージを出しているようでしたら、報道を見た限りですけれど、
これが事実であれば、大変な事を言っているなということで、
やはり相談にのる人も慎重な答をしていかないと。

安心安全と言っても、新聞の社説によっては、「安心安全冷静ということは、もっと具体的
に出してもらわないと、私わかりませんよ」と言うのは、私はあの通りだと思うんです。

内部被曝の問題は、一切出してないし、食物連鎖の話も、一切出してないです。
しかも、5年10年先のことを出してないですね。
私はそういうことも出していかないと、国民がうんと不安に思うから、
敢えて今日は申しあげたところでございます。

是非とも報道の皆さんも、ある意味では刺激的なタイトルで出す。
それはやめてください。私は事実を申し上げただけでございます。

皆さん、全部出してください。出さないから、そこだけ取っちゃうから、
読んだ市民が非常に不安になるから。

今日お願いしたいのは、書けないんだったら出さないでほしい、
ということ、皆さんの中でご理解いただきたいと、このように思っております。以上です。

菅谷松本市長。2011年3月。

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