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2010年7月14日 (水)

☆動物感覚を読んで☆ メモ3 生き残る

動物感覚から抜き出し

正常な情動は、動物が生存する為にきわめて重要なものである。

私たち人間はえてして、情動は危険な力だから理性や論理できびしく
管理される必要があると考える。
ところが脳はそういう働きかたをしない。脳内では、論理と理性は
情動からけっして切り離されていない。意味をなさない音節でさえ、
肯定的か否定的かどちらかの情動的な意味がある。
中間のものはひとつもない。これは覚えておかなくてはならない。
 このような考え方は、動物にとって恐怖がどういうものかを理解するうえで
重要なので、もう少し説明しよう。
論理は感情よりも重要だとほとんどの人が考えるのは、私達がふだんは
このふたつの結びつきを意識していないからだ。
たいていの場合、ほとんどの人の情動生活は無意識で、とりわけ
なにかを静かにじっくり考えているときは、情動を意識しない。
論理だけを使っているような気がするが、実際には情動に導かれた論理を
使っている。そればかりか、たまに情動を意識しているときには、
ある問題や人物について感情的になっているので決定を誤り、その結果
情動を悪者にする。そして当然ながら、たいていの人は他の人が情動で
くだした決定をおろかだと決めつける。

以上は全て、半分は正しい。たいていの場合、あきらかに情動でくだされた
決定は、愚にもつかないことが多いだろう。ところが、問題は情動が
かかわっていたことではない。決定をくだすときには、だれでも情動を使う
からだ。脳の情動システムに損傷のある人は、なにを決定するにも
おそろしく時間がかかり、決定しても、たいていは間違っている。
問題は、使われている情動がおろかなことだ。

情動や直感、意思決定に関心のある向きには、「生存する脳」をおすすめする。
著者のダマシオ博士は、前頭葉に問題があって、いわゆる「直感力」を失った
患者について膨大な研究をおこなった。
患者たちは、知能指数と論理的な理由づけ能力はまったく正常だったにも
かかわらず、正常なおとなとして生活出来なかった。他の人に世話をしてもらう
必要があり、ある患者は博士が法廷で証言をして、終身障害年金の受給が認められた。


博士は、エリオットにできないことがなにかを見つけるのに長い時間が
かかった。発見したものは、動物の情動に直接関連していた。エリオットは
日常のものごとに適切な情動反応を示す事が出来なかったのだ。…
エリオットが失っていたものは、恐怖や怒りなどの大きな情動だけでは
なかった。本能的な情動も失っていた。悲惨な事故現場やけがをした動物の写真
あるいは、幸せそうな子どもや夕日の写真を見たときに感じるたぐいの情動だ。
エリオットはおもに情動薄弱だった。

それが、どうして、そんなに大問題だったのだろうか。人間と動物は情動を
使って将来を予測し、どうするかを決定するからだ。エリオットは思案の底なし沼
にはまってしまう。あるとき博士が、来週は何曜日に診察に来たいかと尋ねると
予定表を取り出し、たっぷり30分かけて、博士が提案した2日のそれぞれについて
賛成と反対の理由をひとつ残らず調べあげた。延々と考えつづけ、どちらかを
選択した時に考えられるすべてを書き出しても、なかなか結論が出せない。
とうとう博士が適当に選んだ。…

やがて博士の弟子の大学院生が、エリオットと正常な脳を持つ人の違いを
見つけるテストを開発した。検査はギャンブリングテストと呼ばれた。…

プレーヤーは、トランプのAとBの山が、もうける額は大きいが損する額も
大きいことを知らない。CとDの山は、もうけも損も小さい。ゆっくり座って計算が
できるなら、CとDの山からカードを引けば最後には得をすることがわかるだろう。
けれどもそれは許されていない。ギャン部リングテストは人生になぞらえられている。
人生は不確実だ。なにが起こるかわからない。直感に頼らざるを得ない。
どの山がいいのかがわかる勘をきたえなければならないのだ。

それをするのが情動だ。情動のお陰で勘が発達する。

エリオットはテストに失敗した。元でのお金が底をつきかけているのに
気付いてもCとDの山に乗り換えなかった。脳が正常な人と脳にほかの種類の破損
がある人はすぐに、AとBの山にいやな感じがしはじめる。

つづく

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