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2010年5月20日 (木)

幸田文 ほっちゃれ

高校の現国の教科書にのっていた幸田文の随筆。

鮭はになると産まれた川に戻ってきて産卵をした後、
ボロボロになって一生を終える。

このボロボロになった鮭を地元の人は「ほっちゃれ」という。

命をかけて産卵し、まさに息絶える寸前のボロボロの鮭をほっちゃれと
呼ぶ、その言葉の厳しさ。
感傷に浸る事も許されない自然の厳しさとその懐の大きさ。

早くから身内の死をたくさん受け入れて、
その中で生きることをまっすぐに見つめつづけてきた
作者だからこその視点と思えるような言葉の数々。

この随筆を捜して、本屋にある他の幸田文の本を片っ端から
買い求めたけれども、この随筆がのっている本は捜せず…。
もう一度、読みたい、心に残るお話です。

また、命を繋いでいくことのすさまじさが胸に迫ってきて
思わず、北海道へ鮭の産卵を見に行きたい!と言って
家を飛び出したはいいが連れ戻された当時の私を思い出しました。

私も、ほっちゃれのように生きて、死にたいなぁと思います。

うつくしく死にたいとかそういう体裁も考えず
ただ本能に突き動かされるように産まれた川に戻ってきて
飲まず食わずで産卵し、産卵した子供達の餌となるべく
己のボロボロの身体を川や湖や森の栄養源として循環させる。
生きるという事を最後まで全うするようなストイックな死に方。

あれから20数年経った今でも鮭を食べる度に
ほっちゃれの事を思い出す私です。

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