MJの死に想う
マイケルジャクソンの突然死。
特別、彼のファンだったわけでもないですが、一時代を築いた大物の死に
驚くと共に、彼の晩年について、私なりの想いを、言葉にしてみようと思います。
彼は、自分が黒人である事に強いコンプレックスを持ち、
肌の脱色にはじまり、元の顔がわからないくらいに整形を重ね、
それによる感染症に苦しみました。
また、スターダムにのぼり詰めた者の、孤独を、嫌というほど感じさせた
人でもあったと思います。
あまり人種差別というものが深刻でない単一民族の日本人には、
ぴんと来ない部分もありますが、
アメリカでの黒人差別は、黒人大統領が誕生した今でも、根深いものが
あると聞きます。
マイケルの悲劇は、彼が自分のありのままを受け入れられずに、
否定する事によって、見た目の肌の色が白人っぽくなっても、
本物の白人からは、馬鹿にされ、
また、同じ黒人からも、肌の色を変えた事で、非難を浴び、
孤立を深めていき、絶対になれない白人になるという事に
執着してしまった事だと思えます。
それは、見た目からはじまり、周りの人に対する猜疑心が高まるに
つれて、最後は、子供しか心を開く事が出来なくなっていくところなんか
からも、同じような悲哀を感じます。
マイケルの気持ちと、自閉者の気持ち。
とっても似たところがあるように思えて仕方がありません。
自閉者も、自分の脳をまるっきり定型者のように変えるなんて
事は、出来ませんし、
そういった療育は、自己否定感を強めるだけで、頑張れば頑張るほどに
敗北感に苛まれるような気がしてなりません。
自分というものを受け入れてからでないと、無理矢理変えるべきでない
大事なオリジナルの部分まで変えてしまおうとして、代えって、自分を
傷つけてしまう事になるのではないかと思うのです。
人種や障碍の有無に関係なく、誰もが、自分以外の誰かになるなんて
事は出来ないのです。
折り合いをつけるという事は、自分を丸ごと変えてしまう事ではありません。
納得いかない自分、嫌な自分を受け入れて、その上で、どう前を向いて
進んでいくかという事なんだと思います。
服巻智子先生のブログにモデルになるという夢が叶わず、拒食症になり、
苦しむ女の子のお話がかつて掲載されていました。
以下、抜粋させていただきます。
http://tomokoworkdiary.sagafan.jp/c2061.html
夢は叶うこともあれば、あきらめることを決断しなければならないこともある。
挫折 とか 評されることもある。
人は幼い頃から、ネガティブな強い感情を自分の中で処理し、感情を整理するスキルを生活の中で会得する。
あきらめる ということだ。
give up じゃなくて let go
欲しくてたまらない気持ち、欲しいものへの執着心を、自分の中から自主的に放出し放念する
あきらめることを学ぶことは、本当に苦しいことだ。
感情の発達が未成熟なままでありがちなASDの人たちには、これが本当に難しい。一般の人にも難しいが、特に難しい。なのに、人生は、諦めなければならないことが、むしろ多いかもしれないのだ。
あきらめて、その後、新しい何かとの出会いをポジティブに待つ。当ても無くただ待つ。
あるいは、何もなくても今持てるものに満足を見出す。
その健康的でしなやかな人生観を得るには、何年もかかるものだ。
let go が、うまくできるようになることが大人になるということの大きなステップのような気がする。
抜粋終わり
give up じゃなくて let go
いい言葉だなぁと感心しました。
世の中と折り合いをつけるというのは、生きていく上で、とても大事なスキルのひとつだと思います。
変に世の中を否定して、自分の考えに固執する事で自分を守るのではなく、受け入れる事で、自分を根本から自由にしていく事。
それは、整形のような安易な方法ではなく、ある意味時間もかかり、
受け入れるまでに多くの苦しみも伴うものかもしれません。
そういう私も、今だ、諦める事の難しさに苦しむ事も多々ありますし、目の前にある
当たり前の幸せが見えず、ちっぽけな不幸にばかり、目を奪われやすかったりも
します。一生、自分との戦い。
前に進む為、日々、いろんな事を乗り越えて生きているゆように感じます。
ただ、自分の納得出来ない面、悪い面を受け入れた人は、不安もなく、自由で、
幸せでいられると思います。
私は、自閉者が自分を肯定した上で、世の中と折り合いをつけてゆく為の
スキルを教えてくれるような、寮育はないものか?と、K先生のお力添えも
いただきながら、追求しようと考えているところです。
上から目線で、定型社会での正解の行動を鵜呑みさせるのではなく、
自閉者のプライドを守りつつ、彼らが、素直に、「そういう事か!」と
腑に落ちて、自分の意志で行動を変容できるようなそんなやり方を
模索していこうと考えています。
果たして、そんな事が出来るのか?わかりませんが、
気持ちは、そういった方向に向いています。
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